FXチャート大研究ノートCHART STUDY NOTE — TECHNICAL ANALYSIS

RSIとMACDの使い分け

RSIとMACDのオシレーターを表示したFXチャートのイメージ図

オシレーター系の指標を触り始めると、たいていの人がまず出会うのがRSIとMACDです。両方をチャートに表示して「結局どっちを見ればいいのか」で止まりやすいところです。名前は聞くけれど性格の違いは意外と知られていない。ここを整理すると、無駄に両方を眺めて混乱することが減ります。

この記事では、RSIとMACDそれぞれの計算の考え方と性格、得意な相場、そして使い分けの発想を整理します。先に断っておくと、どちらも過去の価格から計算した後追いの指標であり、単独で将来を保証するものではありません。パラメータも「一般的にはこの値が使われる」という水準の話で、絶対の正解ではありません。

この記事でわかること RSIとMACDの計算の考え方/2つの性格の違い/トレンド相場ともみ合いでの得手不得手/使い分けの発想/単独で当てにしない理由。

RSIとは|「買われすぎ・売られすぎ」を測る

RSI(相対力指数、Relative Strength Index)は、一定期間の値動きのうち、上昇分と下落分の割合から「買われすぎ・売られすぎ」を0〜100の数値で示すオシレーターです。期間はよく使われるのが14で、目安として70以上で買われすぎ、30以下で売られすぎと語られることが多い指標です。

ただし、この70・30という水準は「そう見る人が多い目安」であって、絶対のラインではありません。相場やスタイルによって80/20を使う人もいます。私が強調したいのは、RSIが売られすぎ圏に入ったからといって「買いのサイン」ではない、という点です。強い下降トレンドでは、RSIが30を下回ったまま価格が下げ続けることがよくあります。RSIは、あくまで行き過ぎの目安を測る道具です。

MACDとは|「2本の移動平均の差」で勢いを見る

MACD(マックディー、移動平均収束拡散法)は、性格の異なる2本の移動平均線(一般には短期12・長期26がよく使われます)の差をとった「MACDライン」と、その平滑値である「シグナルライン(一般に9)」で構成されます。名前のとおり、2本の平均線が近づいたり(収束)離れたり(拡散)する様子から、トレンドの勢いを読む指標です。

MACDでよく見られるのが、MACDラインとシグナルラインのクロスです。MACDラインがシグナルラインを下から上に抜けると勢いが上向きに、上から下に抜けると下向きに、と解釈されることが多い。ただし、これも移動平均を土台にしている以上、実際の値動きよりは遅れて発生します。クロスが出た頃には、ひと相場動いていることも珍しくありません。

2つの性格の違いを整理する

RSIとMACDは、同じオシレーター系に分類されがちですが、見ようとしているものが少し違います。ここを押さえると、両方を漫然と眺めずに済みます。

項目RSIMACD
主に測るもの買われすぎ・売られすぎ(行き過ぎ)トレンドの勢いと方向
よく使う設定期間14/70・30が目安12・26・9が一般的
得意な相場もみ合い・レンジ方向感の出たトレンド
弱点強いトレンドで張り付くもみ合いでクロスが多発しダマシに

ざっくり言えば、RSIはレンジで行き過ぎを測るのが得意、MACDはトレンドの勢いを追うのが得意という住み分けです。得意な相場が逆なので、この違いを知っているだけで「いまはどちらを重視すべきか」の見当がつきやすくなります。

得意な相場のイメージ もみ合い相場 :RSI が行き過ぎ(70/30付近)の反転目安を出しやすい
トレンド相場 :MACD が勢いの継続・減速を捉えやすい
※ 相場の状態と、指標の得意分野が合っているかを先に確認する

使い分けの発想|相場の状態に合わせる

私の使い分けは、まず「いまはトレンドか、もみ合いか」を移動平均線などで判断し、そのうえでどちらのオシレーターを主に見るかを決める、という順番です。トレンドが出ているならMACDで勢いの継続や減速を確認し、方向感のないレンジならRSIで行き過ぎの目安を見る。

逆をやると相性が悪くなります。強いトレンドでRSIだけを頼りに「売られすぎだから逆張り」とやると、下げ続ける相場に何度も逆らうことになりがちです。もみ合いでMACDのクロスだけを追うと、細かいクロスに振り回されます。指標を選ぶ前に、相場の状態を見る。これが遠回りに見えて、いちばん効きました。

私の使い方 私はRSIとMACDを、両方いっぺんに主役にはしないようにしています。始めた頃は2つとも表示して、都合よくどちらかのサインを拾っていました。買いサインと売りサインが同時に出ていて、結局は自分の願望で選んでいたわけです。いまは「この局面で確認したいのは行き過ぎか、勢いか」を先に決め、それに合う一方を主に見る。もう一方は、あくまで補助です。これで判断がかなり落ち着きました。ただ、これで勝てるという話ではありません。合わせても外れるときは外れるので、損失を限定する資金管理とセットで使っています。

どちらにも共通する限界

最後に、両者に共通する前提です。RSIもMACDも過去の価格を加工した指標なので、値動きに対して必ずいくらか遅れます。そして、どんな設定にしてもダマシは消えません。パラメータを細かくいじって「効く数字」を探し続けるより、1つの設定を一貫して使い込み、その指標の癖を体で覚えるほうが、実戦では役に立ちます。

また、オシレーターには「ダイバージェンス」という、価格と指標の食い違いから転換の兆しを探る見方もあります。これはRSIでもMACDでも観察できる現象。詳しくは次の記事で扱います。いずれにせよ、テクニカルは確率の話であって、将来を断定するものではない、という原点は忘れないようにしています。

オシレーターが張り付く相場は、実際に起きている

RSIが30を割ったまま下げ続ける、あるいは70に張り付いたまま上げ続ける。教科書どおりに逆張りすると痛い目に遭う場面ですが、そういう相場は実データからも確認できます。

財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」を見ると、令和6年(2024年)4月29日に59,185億円、5月1日に38,700億円の米ドル売り・日本円買いが行われ、この四半期の合計は97,885億円でした。同じ年の7月11日にも31,678億円、翌12日に23,670億円。数日おきに兆円単位のフローが同じ方向へ入る局面で、「買われすぎだから売り」という判断がどうなるかは想像がつきます。(出典:財務省「外国為替平衡操作の実施状況」)

「行き過ぎ」の感覚と、実際の残高は別物

もうひとつ、自分の体感を疑う材料を挙げます。金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」によると、2026年7月31日時点の店頭FX建玉は、買が80,451億円に対して売が39,191億円、合計119,642億円でした。同月の出来高は8,820,768億円、取扱会員数は46社です。建玉は買い方向へ2倍以上偏っている。RSIが「買われすぎ」を示していても、残高としてはまだ買いが積み上がった状態が続くことがある、という話です。(出典:金融先物取引業協会「店頭FX月次速報」)

逆に、静かな期間も統計に出ています。令和6年10月~12月期から令和8年1月~3月期までの6四半期は、介入の合計がすべて0でした。強い外部フローが入らない期間のほうが長い。オシレーターの逆張りが素直に効いた記憶があるなら、それはこの静かな期間だった可能性が高いと私は考えています。

検証のときに開く資料 指標が張り付いた期間は、日付を控えて財務省の介入実績CSVで確認しています。平成3年4月分から1本のファイルにまとまっていて、単位は億円。実績があった日と無かった日を分けて振り返ると、「指標が壊れた」のか「相場の状態が指標に合っていなかった」のかを切り分けられます。設定値をいじる前に、こちらを先に見るようにしました。

公表のタイミングにも触れておきます。財務省のデータ一覧は「月次ベース(毎月公表)」と「日次ベース(四半期公表)」に分かれていて、実施日ごとの内訳が出るのは四半期単位です。月次の集計期間も暦月区切りではなく、直近に公表されたぶんは令和8年7月30日から8月26日まででした。指標が張り付いた当日に理由を断定できないのは、この仕組みのせい。だからこそ、その場では「効かなかった」とだけ記録して、判断は保留にしています。

統計表の単位は億円、収録は平成3年4月分からです。ファイルは1本にまとまっているので、指標が張り付いた日を検索するだけで済みます。

自分のチャートで2つを見比べる

RSIとMACDは、同じ相場に両方表示して、トレンド時とレンジ時でどちらが素直に反応するかを見比べると、性格の違いが体感できます。表示は無料で、多くのFX会社のチャートに標準で入っている。

まとめ|相場の状態で主役を決める

RSIは行き過ぎ(買われすぎ・売られすぎ)を測るのが得意でもみ合いに強く、MACDはトレンドの勢いを追うのが得意で方向感のある相場に強い、という住み分けがあります。使い分けの核心は、指標を選ぶ前に相場の状態を判断すること。2つを漫然と並べるのではなく、局面に合う一方を主役にするだけで、判断のぶれが減ります。

次は、価格と指標の食い違いから転換の兆しを探る「ダイバージェンス」を学ぶと、オシレーターのもう一段深い使い方が見えてきます。

啓
啓介
チャート分析が好きな個人トレーダー。理屈っぽい性格なので、テクニカルも丸暗記ではなく仕組みから理解したいタイプ。煽らず、断定せず、落ち着いた言葉で書くことを心がけています。

本記事はFX(外国為替証拠金取引)のテクニカル分析に関する情報提供を目的としたものであり、特定の取引・手法を推奨するものではありません。RSI・MACDは過去の価格を加工した後追いの指標であり、示された数値やクロスが将来の値動き・利益を保証するものではありません。FXは為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります(元本保証はありません)。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。掲載内容は執筆時点(2026年7月)の一般的な情報です。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用する場合があります。